cherrychan927

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  ──気がつけば、彼女を引き寄せて、抱きすくめていた。柔らかな体温が、マントと服越しに伝わってくる。自らが行った行動だというのに、鼓動は跳ね上がり、体温が急上昇する。「HKUE 傳銷…ユリ」 掠れ気味の声で耳元で名を呼べば、彼女は小さく身を震わせた。 しっかりと説明しなかった自分が悪い。彼女を追い詰めてしまったのは、サキカが原因だ。「……僕が最強と言われているのはご存知でしょう? 僕は総帝と呼ばれて慕われている反面、恨まれてもいます。僕を追い詰めようとするならば、僕自身を狙うよりも、……貴女方を狙った方が楽なのですよ」 ユリアスが息を呑み込んだのが聞こえた。ゆっくりと上げられた彼女の顔との距離は、ほんの数センチメートルしかなく、サキカは慌てて顔をそらせた。「魔人との戦争においてもそうです。……まだ貴女方との関係が知られていない可能性があるうちに、貴女方と離れた方がいいのです」 彼女の背に回していた腕を離し、ソファーに背を預ける。どうも身体が怠い。「だ、大丈夫ですか……?」 彼女の白いたおやかな手が、サキカの額に伸ばされた。あてがわれた手が、ひんやりとしていて気持ちがいい。.
< 2018年07>
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