都に到着した隆行は、今日も都を歩き回る。今
都に到着した隆行は、今日も都を歩き回る。今宵は月が明るい。寒風が雲を吹き払ったように明るい月夜であった。二刻(約四時間)程、歩いていた隆行は、(しかし、いくら何でも、髮線後移男の京都は寒すぎる。)そろそろ帰ろうかと南へ足を向けた時、明らかに怪しい風体の者達が目に入った。(1,2,3,4,…5。…5人か。)と目で数を数えていると、そのうちの一人と目があった気がした。慌ててさっと物陰に隠れた隆行は、(まずい。ばれたか。)と、息を潜めた。しかし、男達は、隆行の方へ来るそぶりも無く、なにやら相談しているようである。(良かった。大丈夫だったみたいだな。)隆行は男達を注視しながら気配を殺している。